グアム・サイパン太平洋の伝説


FRAGRANT LADY

FRAGRANT LADY① 薫る淑女

 その昔、スペイン人達の時代だった頃の話。
 ミステリアスなフレグラントレディがHagatの東にある村の山の中に住んでいました。

 この美しくはかなげな女性について、多くの伝説が語られてきましたが、話の中にはいくつかの真実が含まれているそうです。

 最初は、ある若者がフレグラントレディについての事を話し始めたとされています。彼はこの世界に戻れなくなるような体験をしましたが、彼は戻ってくる事ができました。そして今でもこうして語り継がれています。


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 毎月、月が大きく丸くなり、高く空に昇って銀の輝きを放つ夜、一人の若い女性が寂しい道を急ぎ行く姿が目撃されていました。
 彼女の姿は夜にしか見られず、常に一人でした。
 その道はatmagosoの山頂から曲がり下っていった、pagachaoの農業用の空き地に下っていく鹿の狩猟用の小道で、彼女はその小道に沿って歩いて行くのです。
 その小道を先に行くと、道幅も少しずつ広がり、先には平地の田んぼがあります。
 海に出たところにはmakpoのさびれたビーチがあります。それが例え水際でも、彼女は止まらずに歩いて行きます。水の中に足を踏み出し、そのまま歩き続けます。深く更に深く足を進めて行き、やがてアウターリーフに着きます。
 そこで湾は終わり、そこから果てしない大海が広がっています。彼女はそこで立ち止まり、そして休憩をとります。彼女はこの場所にあるいつもの深く暗いスイミングホールで、何の音もさざ波も立てずに泳いだり沐浴をしたりするのです。
 このスイミングホールは今でも存在します、もしHagana 湾にあるボート場へ出かける事があれば、このリーフの外を見て下さい。そこには彼女のスイミングホールが見えます。
 ≪でも、レモンの香りがしないうちに急いでその場を離れて下さいね。≫

 真夜中にこのミステリアスな女性が彷徨い歩く時、彼女はいつもPagachaoエリアにあるlanchoの近くを通りました。
 そこに住んでいる家族によると、平日、特に仕事が忙しくて暑くて長い一日だった時には、いつもより大きな鼾をかいてぐっすり寝ているのですが、時々突然起きる事があるそうです。周囲がレモンの香りでいっぱいに広がり、彼らが目を開けて起きるまで彼らの鼻腔をくすぐるのです。彼らが外を見ると、そこにはまさしく彼女がいました「ミステリアス・フレグラントレディ」です。
 彼女はゆったりと優雅に小道を移動し、月の影の間を彷徨い歩きました。何て美しいのでしょう。彼女の流れるような黒く長い髪は、風もなく木々の枝が揺れていないのに、彼女の後ろからゆったりとなびくようについて行くのです。
 彼女はとても細く、また色白でした。彼女の着けているドレスは、陽炎の様にゆらめき、海面の反射する銀色の月光の様に発光していました。彼女は一度も立ち止まりません。いつも急いでいる様子でした。そして彼女を見かけたものは誰でも彼女に着いて行きたくなるのです。
 まさにそれがlanchoの若い農夫が心に決めた事でした。
 「もしこの女性が本物ならば、僕と同じように生きて血が通っているはずだ。そうならば、彼女と話ができるはずだ。もし彼女が骨もない魂だけの存在だとしても、祖先の霊ならばぼくが彼女に魂の世界へ戻るように説得をするぞ。」