グアム・サイパン太平洋の伝説


タガ王の伝説

タガ王の伝説 THE STORY OF TAGA①

タガ王

 タガはグアム島の中でも最強の酋長【チーフ】の元に生まれました。チーフはこの子をとても誇りに思い、この赤ん坊の名誉の為に、とても豪勢な饗宴を開きました。

 人々はこの赤ん坊の大きさに畏敬の念を抱き、
「チーフの息子はすぐに父親を越えた力を持つ様になるはずだ!」と口ぐちに話しました。
 そして彼らの中で一握りの人々はその言葉の意味が現実になることが分かっていたのでした。

 タガは勇気ある、賢い青年に成長していきました。タガがまだ3歳だった時の事、彼の父親は、息子が椰子の木の側の地面に横たわり、片方の手にはトーチを持ち、もう片方の手では地面を掘り返していたのです。
 チーフは「息子よ、いったい何をしているのか?」と聞きました。
 タガは「panglao【カニ】を捕まえるのです!」
 「一匹が木の下に隠れているので、それを獲るのです!」そう答えると、タガはすくと立ち上がり、何事も無いような顔で木を引き抜きぬいてしまいました。

 父はたった今、目の前で見た光景にとてもショックを受けて青ざめました。そして、もしかすると、この息子が自分より強いのではないだろうか、と心配になりました。そしてそれは次第に怒りへと変わりました。
 「さて、一体どうするか?」父であるチーフは自分自身に問いかけました。」
 「自分の息子がたったの3歳で、既に自分より強い?」
 「そんな事が合って良い訳がない。グアムで一番偉大な私のチーフより強いのか!?そうか、そうならば…息子を私の手で殺さなければ…!!」
 タガは父の怒りを察知し、走り始めました。走って、走ってとにかく走り…気が付けばタガはロタ島に面したグアム島の最北端へと辿り着いていました。
 遂にその崖の淵に手が届いた時、彼はその周りは下へ降りる以外には全く行き場の無い事に気が付きました。彼は引き返して走ろうとしましたが、怒りの炎を眼に浮かべた形相の父が、すぐそこまで追い上げてきていました。
 タガは咄嗟に大きく弧を描いて崖を飛び越え、一飛びでロタ島へと着地しました。
 人々はこの時のタガの足跡を両方の島で、今も見る事が出来ると語っています。。