グアム・サイパン太平洋の伝説


グアムを救った女性

グアムを救った女性 HOW THE WOMEN SAVED GUAM ⑤

 「早く!ここに来るのです!」 magahagaは織りあげた漆黒の網を集めて、波打ち際へ急いだ。

 「ここで待つのです。」atuhongは言った。
 「あのすばしっこい怪物があのトンネルを抜けて来た時、この網を頭めがけて投げ、直ちに全身全霊の力を込め皆で引っ張り上げるのです。」若い者達は、彼らの母を見上げ、そしてうなずいた。

 「大丈夫、私達はできる。この網には我々の勇気が織りこまれているんだ。皆で力を合わせれば、きっと成功する!」

 魚の怪物は悠々とトンネルより泳ぎ出できた。女達の周りに円を描くように、ぐるぐると泳ぎ周り段々と近くなった。そしてその巨大な顎を目一杯、女達の目の前でこれ以上ないほどに大きく広げて見せた!
 バチン!!大きな歯は思い切り空気を噛んでいた。と、その女達が放った網は見事に怪物の口に引っかかったのである。

 「引け―――っ!!」magahagaが叫んだ。女達は一丸になって網を引っ張った。
 巨大な歯が網を引きちぎる寸前であった、しかし網は不思議な魔法で守られていた。
 「引け!引きあげろ!!」年長者達は急かした。怪物の恐ろしい躯体が端から端にのた打ち回った。大きな尾が水面をたたき、高い水しぶきが空中に舞いあがる。

 女達はつかまった。海はだんだんと砂で濁り始めた。女達は祈りを唱え始めた。
 「我々に勇気を!強さを与えて下さい!引けー!」女達の声を聞きつけた男達が、慌てて銛や武器を手に取り浜辺に急いだ。

 怪物は息絶えていた。
 男達も女達もそして子供達も、皆一緒になって巨大な怪物の身体を波打ち際まで引き揚げた。

 彼らは皆、一同に先祖に感謝の祈りを捧げ、そして女達が素晴らしい勇気を持って彼女達の美の象徴に祈りを込めて編み込み、そしてそれがグアムの島を救ったという新しい歌を唱え始めた。
 彼らは歌を歌いながら、この巨大な魚の周りにココナッツの殻を高く積み上げて調理を始め、そして皆で食べたのであった。

 遂に全ての腹が満腹感に満たされ時、乾いた大地に突如雨が降り始めた。人々は干ばつと飢饉が遂に終わった事を確信した。
 彼らは天に向かって顔をあげ、互いにうなずきあった。
 今日と言う一日で、一体この島に何が起こり、どうやってこの島が救われたのかは、この先、代々子供達の子供達、またその子供達に永遠と語り継がれていくであろう。

 決して忘れてはならない。いつでも感謝の心を持ち続ける事を、この島を、そして人間同士が互いに支え合って生きていく事を。その心が保たれて、初めてこの海とこの大地は自分達と子供達のものだと言えるのだ。

 この伝説は、人間はお互いに支え合って生きていく事、そしてその繋がりに感謝の心を忘れずに持ち続ける事、全ての行動は自分にまた巡ってくると教えている。