グアム・サイパン太平洋の伝説


タガ王の伝説

タガ王の伝説 THE STORY OF TAGA②

タガ王

 タガのロタ島での生活はあまりよく知られていません。
 タガはその力と共に、さらに成長を続けました。
 彼が大きくなっていった時に、彼の父が自分の強さをいつか自慢していた時と同じ様に
 「私はこの島で一番強い人間だ!これから他の誰にも負けない大きさの、もちろん私の父よりもずっと大きな家を建てて見せるぞ!!」
 彼は島の北部へ行き、acho’ latteを切り出しました。Latteはこの家の床を地面より高くあげる為のもの、だったはずです。というのも、途中で何かがあって、タガはこの家を建てる事を放棄してしまったからです。そしてその時に放置された石が、その形のまま、半分だけ削られた形で残されています。

 タガはロタ出身の女性と結婚をして、娘を授かりました。ある日の事、タガはテニアン島へ行こうと決めました。
 彼は家族をsakman【船の名前】に乗せて、航海にでました。タガはかねてから、この広く青い太平洋の航海にかけて、素晴らしい舵取りを見せていました。Sakmanは海の上を滑らかに滑り一定のスピードですいすいと進んでいくと、間もなく一行はテニアン島へ到着しました。
 テニアンのチーフは既にタガがこの島に向かっているとの報を受けていた為に、準備を万端に、浜辺でこの訪問客を待っておりました。テニアン島の人々は、タガと彼の家族に挨拶を終えると、最高のもてなしを見せました。チーフはこの特別な時間の為に、豪勢な食事も準備しました。

 チーフはタガが非常に強いと言う事を聞いていた為に、彼を試してみようと考えました。
 「かねてからあなたは非常に強い方であると伺っていました。その噂が本物かどうか、どうでしょう、一つ競争をして見ませんか?!」
 チーフの提案にタガは同意をしました。
 そして「強さを証明する為に、一体どんな競技が適当だろうか?!」と尋ねました。
 「我々は祭日の宴の為に使う魚が必要だ。私とあなたでどちらが最も多くの魚を捕える事が出来るか、是非競争しようではありませんか?」と、テニアンのチーフは答えました。

 タガは同意しました。2人は網の準備を始めました。
 チーフは彼のTalaya【チャモロの漁業に使用される伝統的な網】を浅瀬に放ち、小さな魚をたくさん獲りました。
 タガはこの島の漁場を良く知らないので、このままでは自分が負けてしまうかもしれないと焦りを感じていました。そんな中、彼は自分の網を珊瑚礁へ向けて放ち、そしてその中を泳ぎ魚達を追い込みました。たちまち彼のTalayaはとても大きなたくさんの魚達で一杯になり、チーフは大変驚きました。
 「最初の勝負は君の勝ちだ。」チーフはタガに言いました。しかし、これで負けを認める訳に行かないチーフは、2回目の勝負をタガへ申し入れました。
 「女達が魚料理lechon niyokを作る為に調理に使うたくさんの椰子の実が必要だ。」
 チーフはそう言って、一番近くにあった背の高い椰子の木に登ると、大きな椰子の実をいくつか採りました。
 
途端にタガは笑いだし、言いました。
 「それならもっと簡単な方法があるじゃないか。私ならもっと効率良く収穫できる。」
 そしてそのまま笑いながら、タガはその逞しい腕を椰子の木に廻し、大きく揺さぶると、若い実はもちろん熟れた実も全て瞬く間に地面の上に落とされてしまいました。テニアンのチーフは俄かに信じられなくなり始めていました。

 「君は我々が聞いていた通りに、非常に強く逞しい!」チーフは次第にタガの強さに脅威を感じ始めていました、しかしもう一度彼を試す事に決めました。
 チーフは椰子の実を掴むと、地面から突き出している木の鋭い部分を使って、皮を剥きだしました。彼は椰子の実を自分の妻に渡し、実を削って、ココナッツミルクを絞らせました。
 タガはまた、笑いに笑いました。彼は大きな椰子の実を一つ掴むと、素手のままで悠々と外皮を剥きだしたのです。次々に椰子の実を割り、中の実を採ると一滴残さずココナッツミルクを絞り出しました。